歩くことの効用/期待という心の鎖
歩くことの効用
何かうれしいことが起きたとしたら、その次には、多かれ少なかれさみしさがやってきます。それは少しも、残念なことではなく、素敵なことがあった「証」のようなものなのです。
では、そのさみしさはどう消化すればいいか。
それは、いつもより少し長めに歩くことです。
歩くことは、けっして軽んじてはならない、心理療法です。
悩みや暗い感情は、いびつな時間感覚の世界に人間を閉じ込めます。まとまった時間、散歩することは、その混乱気味の時間感覚を整え、正常化してくれるのです。
期待という心の鎖
心の傷の数だけ、人は「期待」を抱きます。ただ、そのほとんどは氷山のように、無意識の領域に沈んでいます。そういう意味で、期待こそが、その人を縛る「心の鎖」なのです。
もしこの鎖を寸分でも解くことができれば、おそらく心の潜在力は倍増するでしょう。
激しい感情を用いるたびに、人は陰で落ち込みます。それが相手を操作する為であったことを、どこかで感じているからです。
しかしその罪悪感を否定する為に、私たちは感情の使用を、さらに繰り返します。「これこそが、私の本当の気持ちなのだ」と信じることで、自分をはぐらかそうとするのです。
この「感情表出の中毒」をどこかで止めることが、自己を救うただ一つの道なのです。
歩くことも、ソロタイムのひとつの形……。
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名越康文メールマガジン 生きるための対話(dialogue)
2017年10月2日 Vol.157
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今週の目次
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01【巻頭言】歩くことの効用/期待という心の鎖
02【近況】養老先生の時間感覚から「責任」について考える
03カウンセリングルーム
[Q]すぐに現実的逃避してしまう自分を変えたい
04【講座採録】本を読んだぐらいで人生が変わるのか?
(朝日カルチャーセンター新宿出版記念講座より)
05精神科医の備忘録 Key of Life
・「見世物小屋に「再生」のマスターキーを見た
06講座情報・メディア出演予定
【引用・転載規定】