「世界は微笑んでいる」とつぶやいてみる
世界がただそこにあるだけのものとして感じられると、
それだけで人は猛然とさびしくなり、攻撃的になる。
そういう時は、まず一人になる。
そして、步く。
街角や周囲の景色を少し距離をおいて見つめてみる。
おもむろに、「世界は微笑んでいる」とつぶやいて見る。
そうすると、必ず何かが起きる。
驚くべきことに、世界は事物ではなく、むしろ人格なのである。
私たちは世界のすべてを認識できるわけではない。
だから、世界というのは、その人の視界の幅でしか、存在しえない。そして、価値観というふるいを通過することで、その世界はさらに小さくなる。
世界が縮まると、人は孤立し、世界はただ茫漠と広がるだけになってしまい、結果として、生きる気力が減退する。
では、小さくなった世界をもう一度広げていくためには、どうしたらいいか。
その力を持つのは、強い現前性を持つ人やモノとの出会いだけなのだ。
人物や事物がもたらす「驚き」だけが、その絞り切った視界をもう一度、グイっと広げてくれる。
私たちは驚きを探すために、歩いているのだ。
歩くことは、ソロタイム……。
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名越康文メールマガジン 生きるための対話(dialogue)
2017年10月16日 Vol.158
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今週の目次
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00【巻頭言】「世界は微笑んでいる」とつぶやいてみる
01【心理学】「どうしてこの人はこんな簡単なことがわからないの?」と感じた時に読む話
02カウンセリングルーム
[Q]銀河皇帝パルパティーンはなぜダークサイドに落ちたのでしょうか
03【読むこころカフェ】
「あってもないように、なくてもあるように」の境地
04精神科医の備忘録 Key of Life
・言葉は常に自動化される
05講座情報・メディア出演予定
【引用・転載規定】