【メルマガVol.131】わかりやすさという麻薬
多くの人が「良いこと」「正しいこと」を口にするようになっています。これは、私たちが生きる時代のひとつの闇といえるでしょう。
「良いこと」「正しいこと」を言うためには、「悪いこと」「間違ったこと」との対立軸を設定する必要がありますが、対立軸というのはそもそも純粋に観念的なものであり、そこに実体はありません。ものごとを脳内で単純化し「わかりやすく」解釈した結果として対立軸が現れ、正しいこと、あるいは間違ったことが生まれるのです。
この対立軸が、議論のレベルを知らぬ間にジリジリと、ほんのミリ単位で幼稚化させていきます。私たちは皆、正しいことを口にすることによって、その片棒をいつの間にか担いでいるのです。
「わかりやすさ」と「未熟な衝動性」は不可分の関係にあります。グループ分け、図式化、動機の決め付けなどを行うことによって、私たちはより未熟に、より衝動的になっていく。この現実には、左も右もありません。
例えば、いわゆる集合名詞(ある集団を指す名詞)を必要最小限しか使わない、ということを心がけるだけでも、私たちは未熟な議論から、少しは自由になれます。単純化するということは、脳の大好物です。敵、味方、左、右、愛国、反日……あらゆる集合名詞は、いわば脳にとっての「麻薬」なのです。
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名越康文メールマガジン 生きるための対話(dialogue)
2016年9月5日 Vol.131
00【イントロダクション】わかりやすさという麻薬
01【コラム】「意識高い系」に秘められた可能性
02【ゼミ提出課題講評】「除外診断」について
03カウンセリングルーム
04精神科医の備忘録 Key of Life
・明日からまた新しい旅が始まる
05講座情報・メディア出演予定
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