【メルマガ】99パーセントの人が知らない感情移入の本当の力

2015年02月03日(火)09時08分29秒

人間関係を良好に保つという意味でも、また自分が学び、成長していくためにも、「人の話を聞きなさい」ということは良く言われます。

しかし、「人の話を聞く」ということには、実は一筋縄でいかない、困難な問題が横たわっています。というのも私たちは人の話を聞くとき、多くは「自分の話」を聞いているからです。言い換えれば、私たちの耳から入った「相手の話」はほとんどの場合、無意識のうちに脳内に作り出した自己実現の肥として消費されてしまっているのです。

驚くべきことですが、人間のコミュニケーションの現場では、少なからずそんなことが起きてしまっているんですね。

「かわいそう!」
「わかる! そういうことってあるよね!」

という瞬間的な共感のほとんどは、相手の境遇に感情移入したものというよりは、自分の弱さや、抱えている問題を相手にそのまま投影している(=自己投影)だけなんです。

ですから、自らの中にある弱さを自覚しない限り、その弱さは必ず、他者に投影されることになります。例えば相手の話を聞いたとき、そこにあなたが「ずるさ」や「卑劣さ」を見いだしたとすれば、そのほとんどは、自らの弱さを、相手に投影した結果生じた幻影であると考えたほうが良い、というわけです。

人の話を、本当の意味で「聞く」ためには、私たちは自己投影をやめ、感情移入(異質なものへの共感)の段階に進むことが必要です。しかし、それができる人は本当に稀です。人はそれだけ、眼前の事実を、事実として認めることができないのです。

例えば私たちは、自分の理解の枠組みを超えた情熱を持つ人を目の前にすると、奇異に感じるか、あえて軽んじようとしがちです。なぜそうなるかといえば、結局のところ、自己投影しづらいからです。次第に、私たちは自己投影しづらい相手や言葉(本)を遠ざけるようになります。

しかし、そういう人や言葉に触れたときこそ、自己投影を卒業し、感情移入(異質なものへの共感)の段階に進むことが求められるのです。それだけが、自分を超える、唯一の道なのです。

最近僕は、大乗仏教の仏典をこつこつと少しずつ読んでいます。そこにはあまりにも途方もないスケールで、想像もつかないぐらい荒唐無稽なことが書かれているように感じます。しかし、それを荒唐無稽だと感じているのは、自己投影から抜け出すことができていないからなのです。

つい自己投影してしまう自分から抜け出して、いかに、対象に感情移入していくか。それを考えることがおそらく知性であり、智慧の始まりなのです。

名越康文メールマガジン「生きるための対話

2015年1月19日 Vol.092
目次

00【イントロダクション】武器やペンよりもずっと危険な「私の心」
01精神科医の備忘録 Key of Life
・恐怖心があるから優しさがある
02【コラム】「心の時間割」を取り戻そう<前編>
03カウンセリングルーム<お休み>
04塾通信(55)
・体癖の重要参考資料!? 甲野善紀先生の体癖を考える
05講座情報・メディア出演予定
【引用・転載規定】

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相愛大学人文学部公開授業<特別追加版「宗教心理学」>のお知らせ

2015年01月23日(金)01時16分43秒

相愛大学で、
2015年3月3日(火)18:00~20:30
特別追加版「宗教心理学」講座を行います。

定員は90名です。

詳細・申し込みはこちら
http://www.soai.ac.jp/news/news_20150303_nakoshi-special.html

【メルマガ】武器やペンよりもずっと危険な「私の心」

2015年01月19日(月)10時28分48秒

ヨーロッパで大変な悲劇が起きました。それに対して、おそらく、多種多様な分析が、しかも繰り返し出現するでしょう。それはまるで、100万の穴を前にしたモグラ叩きのように見えます。なぜなら、そのほとんどは、「心は危険物である」という基本前提を見失っているからです。

心は、人間世界に起きるありとあらゆる出来事のスタートラインです。それは、世間でよく言われている、他人事のような心ではなく、正しく導かなければ荒れ狂ってしまう、危険物としての心です。

心という危険物の取り扱いを学ぶこと。それなしには何事も始まりません。心を整えて、人に会うということ。それはそのまま、この世での最重要のエクササイズとなるのです。

 

名越康文メールマガジン「生きるための対話

2015年1月19日 Vol.092
目次

00【イントロダクション】武器やペンよりもずっと危険な「私の心」
01精神科医の備忘録 Key of Life
・恐怖心があるから優しさがある
02【コラム】「心の時間割」を取り戻そう<前編>
03カウンセリングルーム<お休み>
04塾通信(55)
・体癖の重要参考資料!? 甲野善紀先生の体癖を考える
05講座情報・メディア出演予定
【引用・転載規定】

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メルマガ「生きるための対話」1月5日号(Vol.091)を配信しました!

2015年01月05日(月)09時08分04秒

名越康文メールマガジン「生きるための対話 dialogue」2015年1月5日 Vol.091を配信しました!

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今週の目次
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00【イントロダクション】「私」という生活習慣病
01【コラム】被災者としてのムーミン
02カウンセリングルーム
[Q1]ゲームをやりすぎるのは心によくない?
[Q2]絶滅した体癖はありますか?
03精神科医の備忘録 Key of Life
・理屈は「踊り場」に過ぎない
04読むこころカフェ
・「わかってほしい」の奥にあるもの
05講座情報・メディア出演予定
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名越式性格分類ゼミ通信講座版、追加募集(20名)受付開始です

2014年12月17日(水)12時24分44秒

先日、募集からすぐに定員に達し、受付を締め切っていた名越式性格分類ゼミ(通信講座版)ですが、本日より20名の追加募集を受け付けるとのことです。詳細は、リンク先をご覧ください。

http://yakan-hiko.com/meeting/nakoshi.html

 

<名越康文からのご挨拶>
今回、昨年から東京で行っている性格分類講座を、通信受講してもらう仕組みができました。

この講座でお話しているような、体癖論を含めた私の心理学は、とにかく「体験」して学んでほしい、ということを常日頃から感じています。肉声だからこそ、実際にお会いしてお話するからこそ伝わることが、心理学という分野には無限にあるからです。

ただ、熱意がどれだけあっても、受講できないご事情というのもおありでしょう。

遠方にお住まいだったり、忙しくて毎回は講座にご出席できない方に、どうにかして「生に近い形での体験」をお伝えしたい。このわがままな私の夢に、夜間飛行が、最高の映像技術で応えてくれました。

ご縁のある方は、どうか観て、体験して下さい。

 

名越康文

 

 

メルマガ「生きるための対話」12月15日号(Vol.090)を配信しました!

2014年12月16日(火)03時00分55秒

名越康文メールマガジン「生きるための対話 dialogue」2014年12月15日 Vol.090を配信しました!

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「名越式性格分類ゼミ」<通信講座版>受講生募集開始!(第1期)

2014年12月10日(水)11時16分07秒

このたび、「名越式性格分類ゼミ」<通信講座版>がスタートすることとなりました。

2013年8月にスタートした名越式性格分類ゼミは、これまで月に1回、東京・巣鴨の会場にて少人数限定のゼミ形式で開催してきました。少人数ゼミ形式という性質上、参加者の方には高い満足度で受講いただける一方で、

・日程が合わない
・遠隔地のお住まいのために参加が難しい

といった理由から、通信講座形式での受講を希望される声を多数いただいておりました。

このたびは、そういった声にお答えするために、通信講座版をご用意させていただきました。

巣鴨での講座の受講経験のある方も、未経験の方も、性格分類を学ぶ選択肢のひとつとして、ご検討をいただければ幸いです。

名越式性格分類ゼミ(通信講座版)
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メルマガ「生きるための対話」12月1日号(Vol.089)を配信しました!

2014年12月01日(月)10時34分33秒

名越康文メールマガジン「生きるための対話 dialogue」2014年11月17日 Vol.088を配信しました!

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以下、巻頭コラムを掲載いたします。

 

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00【イントロダクション】「コミュニケーション力のある人」なんてそうざらにはいない
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何かにつけ、コミュニケーション力が求められる時代だと言われますが、そもそ
も、コミュニケーションって何なんでしょうね。

私の考えるコミュニケーションは、少なくとも「前提を共有すること」ではない、
と思っています。他人と「ああ、それわかる!」というふうに前提を共有するこ
とは大切なことですが、それはむしろ、コミュニケーションの「入り口」です。
むしろ気づかないうちに共有した前提や見えない壁を突き崩す契機を、他者から
得る。それこそが、コミュニケーションの本質ではないでしょうか。

他人の内面に肉薄すればするほど、そこには浅はかな理解や共感を絶した、底知
れぬ様相が立ち上がってきます。私たちは、あまりに理解しがたいその現実を前
にしてうろたえます。

実はこのとき生まれるのが「欲」です。欲の本質とは、それまでの固定観念に凝
り固まった「私」が動揺しはじめ、なんとか相手を理解したい(あるいはコント
ロールしたい)と思い、じたばたと足掻きはじめたとき生じる、衝動のようなも
のです。

ともあれ、他人とのコミュニケーションというのはこのように、大変な困難を伴
うものである、ということを知る必要があります。どんな人でも、当たり前のよ
うにやっているように思われがちですが、コミュニケーションをとる、というこ
とは、実はかなり高度なことなのです。

例えば家族など、近しい人の言葉にこだわり、つまずく人は、相手の人格や表現
ではなく、まず自らのトラウマを検証してみる必要があります。トラウマは痛み
であり、痛みはそのまま、他人を断罪する感情や知恵に変わってしまうからです。

お蕎麦屋さんが出前でたくさんの蕎麦を重ねて持ちながら自転車に乗るように、
自己(自転車)のバランスをとりつつ、他者(蕎麦)との関わりを持つ。それが
できたとき、あらゆる瑣末で些細なコミュニケーションが、アートに昇華するの
ではないでしょうか。

新刊『どうせ死ぬのになぜ生きるのか 晴れやかな日々を送るための“仏教心理学講義”』
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好評発売中です!(増刷が決まったそうです)
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今週の目次
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00【イントロダクション】「コミュニケーション力のある人」なんてそうざらにはいない
01【コラム】なぜ秀吉はあれほど利休を恐れたのか 「常識」との正しいつきあい方
02精神科医の備忘録 Key of Life
・想いとは言葉を超えているから想いである
03【連載】読むこころカフェ(27)
・「心のリセット」はポジティブシンキングよりも実践的
04カウンセリングルーム
[Q1] 『今、ここ』に集中している心の状態とは?
[Q2]情緒不安定な女性とのつきあい方
[Q3]家を片づけようと思います
05講座情報・メディア出演予定
【引用・転載規定】

 

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辺境ラジオ公開収録のお知らせ!

2014年11月26日(水)03時46分09秒

辺境ラジオ 公開収録のお知らせです。

12月18日(木)18:30~ 場所:毎日放送本社

定員:約60人

12月2日(火)到着分まで有効

詳しくは下記

http://www.mbs1179.com/henkyo/

メルマガ「生きるための対話」11月17日号(Vol.088)を配信しました!

2014年11月17日(月)01時08分47秒

名越康文メールマガジン「生きるための対話 dialogue」2014年11月17日 Vol.088を配信しました!ご購読はこちらからどうぞ!

 

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今週の目次

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00【イントロダクション】人間の場合、集合知は馬鹿になるのかもしれない

01【コラム】大切なことをつい先送りしてしまう。その原因は「弱いトラウマ」!?

02精神科医の備忘録 Key of Life

・「自分の考え」の外側に出よう

03【特別連載】どうせ死ぬのになぜ生きるのか(後編)

04カウンセリングルーム<今回はお休みです>

05読むこころカフェ(26)

・機縁をつかむ内蔵感覚の力

06講座情報・メディア出演予定

【引用・転載規定】

 

 

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