【メルマガ】想像力は人生を変えるか

2015年09月21日(月)08時48分40秒

想像力は人生を変えるか。

 

おそらく何万人もの人が繰り返し、繰り返し、このことを語ってきたことだろうと思います。しかしそもそも、想像力とはなんなのでしょうか。本当に、想像することが、自分を、世界を変えることができるのでしょうか。

 

確かに、想像力が有効に働くことによって、人の潜在能力は開花します。同じように取り組んでいたとしても、心の中が「他人からほめられたい」という承認欲求で満たされた人は、目的を達成するたびに手綱を緩めてしまうでしょう。しかし、想像力に駆動された意欲というのは目的を達成することによって、さらにエネルギーを増していきます。どれほど巨大なことを達成しても、その次の瞬間には、次のことについてワクワクし、行動を起こすことができるのです。

 

これは想像力というものが持つ、まぎれもないひとつの真実です。ただ、この逆もまた真なり、ということは忘れてはいけません。想像力がネガティブな方向に働いたときに、どれだけその人の日々の暮らしと未来とを縮小させているか。無意識のうちに、どれほど「見えない監獄」を築いているか。これもまた、途方もない現実の一側面なのです。

 

だからこそ、私たちは想像力を常に、具体的な行動と結びつけて考える必要があります。こうありたい、やってみたい。そういう前向きな想像力を、いかに今日1日の行動に結び付けるか。その作業を怠っていると、私たちの想像力は行き場を失い、やがては思わぬ方向に暴走してしまうことでしょう。

 

想像力の力を開花させようとする人は、常にそれを、高い技能と情熱的な探究と結びつけておく必要があります。思いだけでそこに技がなく、また探求の労を惜しむならば、それは我欲にしかなりません。たとえそれが、どんな清純な思いであれ、大事を達成することにはつながらないのです。

 

 

名越康文メールマガジン 生きるための対話(dialogue)

2015年9月21日 Vol.108目次

00【イントロダクション】想像力は人生を変えるか

01【コラム】「才能の芽」を摘まないために必要なたったひとつのこと

02精神科医の備忘録 Key of Life

・自分で自分の人生を経営する

03カウンセリングルーム

[Q1]方位が気になって旅に出られません

04読むこころカフェ(35)

・「痛み」から見る心と身体

05講座情報・メディア出演予定

【引用・転載規定】

 

 

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【メルマガ】無意識の中にある「他者への期待」–その功罪

2015年09月08日(火)04時18分57秒

最近気づいたことなんですが、僕ら日本人の心の中にある「他者への期待」っていうのは、その90パーセント以上が無意識のうちにあるものなんです。「もっと私のことを愛してほしい」とか「もうちょっと言うことを聞いてほしい」というように、きちんと言葉にして表現したり、自覚したりしているような「期待」というのは、その人が抱えている期待のほんの一部にすぎない。ほとんどの期待は、いわば深い無意識の底に沈んでいる(ふだん全く意識化されない)。

 

だからこそ、日本人の怒りというのは、ときに苛烈なものになる。「自分が何に対して、どのように期待しているか」という自覚がないために、その期待が裏切られ、怒りに転嫁してしまったときに、まったく歯止めがかからなくなってしまう。それは「自分がなぜ怒っているのか」がわからないから。無意識の期待に、気づいていないから。

 

もちろん、無意識の期待というのは、日本人だけが持っているものじゃありません。どこの国の人だって、程度の差はあれ、持っているものです。ただ、日本人は特に、「無意識の期待」の比重が高いんじゃないかと思うんです。それは結局、諸外国に比べて日本人の子育てが密接だから。

 

幼い頃から親があれこれ世話を焼いてくれて、非常に密接な身体的接触の中での「阿吽の呼吸」によって、言葉に出さなくても相手がやってくれる。そういう母子、もしくは父子が密着した子育ての中で育ってきた僕らの「期待」というのは、そのほとんどが無意識的なものにならざるを得ない。

 

つまり、「無意識の期待」の肥大化というのは、日本人の密な子育ての「副作用」だということです。

 

誤解のないように断っておきますが、僕は、日本人の子育てを、基本的には支持しています。「親が細やかに手をかけて子供を育てる」ということは、おそらくプラスの側面のほうが大きい。少なくとも、日本人が持つ繊細さや、高度なコミュニケーション文化というのは、こうした子育て習慣の中で培われてきたものだし、それは決して失われてはならないものだと思う。

 

しかし、そこには副作用もある。そのことは忘れてはならないだろうと思うんです。

 

 

名越康文メールマガジン 生きるための対話(dialogue)

2015年9月7日 Vol.107目次

00【イントロダクション】無意識の中にある「他者への期待」–その功罪

01【近況】善意のなれの果ての悪意/死に物狂いでやるということ

02【解説】観察力とは何か

03精神科医の備忘録 Key of Life

・共感せずに他者を認めることはできるか

04カウンセリングルーム

[Q1] 仏教に対して恐怖心を覚えています

05読むこころカフェ(34)

・他者がもたらす不快といかに付き合うか

06講座情報・メディア出演予定

【引用・転載規定】

 

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【ご案内】類人猿分類の新刊、9月11日発売決定!

 

「ガイアの夜明け」や「とくダネ!」で話題となった類人猿分類。その最新版・決定版の本を鋭意制作中です。タイトルは『類人猿分類公式マニュアル2.0  人間関係に必要な知恵はすべて類人猿に学んだ』。2015年9月11日発売です。まだ予約期間ですが、amazon総合でトップ200位に入るなど、大注目の一冊。

 

私は監修として関わらせていただきました。非常に良い本です。よろしければぜひ!(名越康文)

 

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書籍情報はこちらに掲載中です。

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第25回「名越式性格分類ゼミ」(9月20日)のご案内

2015年08月27日(木)04時03分24秒

第 25回「名越式性格分類ゼミ」は2015年9月20日(日)13:30~16:00、

アープカレッジすがも(JR巣鴨駅徒歩2分)で行います。今回のテーマは「前後型(6種を中心に)」です。

詳細・申し込みはこちらをご覧ください。

 

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【メルマガ】シュプレヒコールのデジャブ感—大切なのは、深く呼吸をすること

2015年08月17日(月)03時25分08秒

「戦争したくない」というのは、少なくとも「論点」とはいえません。議論の基点です。しかしいまのところ、そこを共有できないまま、時間だけが無為に過ぎ去っていきます。そこに、シュプレヒコールのデジャブ感を覚えざるを得ない。

平和を願うことは大切です。しかしそれよりもずっと大切なことは、一人ひとりの人間が、深く呼吸をすることです。深い呼吸をすることによって、はじめて私たちは考えることができる。そうでなければ、平和を主張する者の叫びが、虚しく響くことになるだけです。

シュプレヒコールによって煽ることの弊害は、考えること、学ぶことが必要ないと直感する者を増やしてしまうことです。物事を短絡的に捉えることを推奨することは、本人の予想をはるかに超えた扇動となります。なぜなら扇動された者は、同時に排他的に生きる者となるからです。そしてその究極の排他が「戦争」である、と考えることもできるでしょう。

ではなぜ人はかくもたやすく扇動されるのか? それは、私たちの多くが常日頃から、大きな不満を抱えながら生きているからです。

不満を抱えているから、私たちは「ただ生きる」ということはできず、なんらかのアイデンティティを求めます。それがわかりやすいものであればあるほど、魅力的に映る。

そういう意味では、私たち大衆の一人一人が、そうした世界的なアイデンティティの矛盾の只中に足を踏み入れるしかないという、空前の時代が訪れているのかもしれません。私もまた、その時代を、深い呼吸とともに迎えたいと思います。

 

【ご案内】類人猿分類の新刊、9月11日発売決定!

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名越康文メールマガジン 生きるための対話(dialogue)

2015年8月 17日 Vol.106目次

00【イントロダクション】シュプレヒコールのデジャブ感
01【近況】性の交差現象が起きるとき、人は癒される
02カウンセリングルーム
[Q1] 「面倒くさい」は我慢しなければいけないのか
[Q2] デモに参加するときに気をつけなければいけないこと
[Q3] ついお酒を飲みすぎてしまう
03精神科医の備忘録 Key of Life
・時間とは「壊れやすさ」のことである
04【新刊】 『自分を支える心の技法』文庫版あとがき(抜粋)
05講座情報・メディア出演予定
【引用・転載規定】

 

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メルマガVol.104(2015年8月3日)を発行しました!

2015年08月06日(木)09時30分01秒

※メルマガVol.104(2015年8月3日)を発行しました! ご購読はこちらから

 

名越康文メールマガジン「生きるための対話

 

2015年8月3日 Vol.104
目次

00【ご案内】類人猿分類の新刊、9月11日発売決定!

01【ピックアップ】「キャラを作る」のって悪いことですか?

02【近況】怒りのデス・ロードとデジャブについて

03精神科医の備忘録 Key of Life

・現実逃避という莫大なエネルギーが蕩尽されつつある

04カウンセリングルーム

[Q1] 母の怒りから身を守るには?

[Q2] 田舎暮らしが耐えられない

[Q3]他人からどう思われているかを知りたい

05講座情報・メディア出演予定

【引用・転載規定】

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※月2回発行、500円+税(月額)。kindleや各種電子書籍リーダー対応。購読開始から1か月無料! まずはお試しから。

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【ラジオ】7/24(金)J-WAVE「GOLD LUSH」出演します!

2015年07月22日(水)11時40分33秒

ラジオ、出演します!

 

7月24日(金)、16:30~17:00

J-WAVE「GOLD LUSH」

【メルマガ】誰も知らない「本当の時間」の力

2015年07月20日(月)01時39分41秒

何かと人の言葉にイラついて仕方がないという人でも、その言葉を朝に聞くのか、夜に聞くのかによって、腹の立ち方はずいぶん違うはずです。昼間は内容が気になり、夜は語尾が気になる。そんなふうに、時間帯によって、同じ言葉でも、心や身体にどう響くかは、変化するのです。

 

「時間」というものが私たちの感覚に与える影響の大きさは甚大です。しかし、そのことに本当の意味で気づいている人は非常に少ないのではないかと感じます。多くの人は、時間というものを時計が刻む客観的な「時間」としてしか捉えることができず、私たちの感覚が捉えている「本当の時間」に向き合おうとはしません。

 

では、時計が刻む客観的な時間と、僕たちが日々、実感として受け止めている「本当の時間」には、実際のところ、どのような違いがあるでしょうか。

 

結論からいえば、客観的な時間というのは「モノサシ」に過ぎず、実態を持たない概念にすぎません。それに対して、私たちの感覚によってありありと捉えることのできる「本当の時間」には、途方もない力が宿っているのです。

 

私たちは通常、空間における作用を“力”と呼びます。しかしそのような力はすべて、時間に押し流されていきます。時間の持つ力は絶大なのです。しかし繰り返し述べてきたように、私たちは通常、時間の持つそうした「力」に直接、触れることができずにいるのです。

 

「本当の時間」は、常に伸び縮みをしています。ある瞬間が、途方もない厚みを獲得してしまうことすらある。それを捉えるためには、「行」に取り組む必要があります。感覚を、物事(対象)に対して集注させるのではなく、瞬間に集注させる。それが行の入り口です。

 

行に取り組むことによって、私たちの感覚はようやく、「本当の時間」を捉え始めます。自分であれこれ考えているうちは、私たちは因襲的な時間の枠組みから抜け出すことができません。行に取り組むことによって、僕たちは初めて、厚みを持つ時間に遭遇します。そこにきて、はじめて僕たちは、時間が持つ本当の力を、自身の身体全体で受けとめることができるのです。

 

 

 

名越康文メールマガジン「生きるための対話(dialogue)

2015年7月20日 Vol.104
目次

00【イントロダクション】誰も知らない「本当の時間」の力

01【コラム】活力を呼び込む午前中の過ごし方

02精神科医の備忘録 Key of Life

・自己への囚われはときに生きる活力の息の根を止める

03カウンセリングルーム

[Q1]子供の才能を枯れさせない関わり方とは?

[Q2]自分に向けられた怒りをうまく受けとめることができません

04読むこころカフェ(34)

・他者がもたらす不快との付き合い方

05講座情報・メディア出演予定

【引用・転載規定】

 

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類人猿分類および新刊『類人猿分類公式マニュアル2.0 人間関係で必要なことはすべて類人猿に学んだ』について

2015年07月15日(水)02時17分29秒

お問い合わせをいただいております、名越康文監修の類人猿分類について、下記に情報をまとめておきます。

■類人猿分類の関係書籍について
・既刊に『ゴリラの冷や汗』、9月発行予定の新刊に『類人猿分類公式マニュアル2.0 人間関係で必要なことはすべて類人猿に学んだ』があります。いずれも詳しい情報は特設サイトに掲載しています。

 類人猿分類特設サイト

 

 

■類人猿診断について

類人猿分類の簡易診断が行える診断サイトはこちらです。

http://yakan-hiko.com/gather/

 

■類人猿セミナーについて

類人猿分類を用いた人事セミナー等については、株式会社エブリイのサイトをご覧ください。

http://www.super-every.co.jp

 

 

【メルマガ】「他人に支配されない人生」のために必要なこと

2015年07月07日(火)08時20分20秒

人はいつも、思考や価値観よりも、刺激と感覚に引きずられて生きています。

それは言い換えれば、どれほど情報を仕入れ、自分の頭で考え抜いても、「感覚」にアプローチしない人は容易に他人に誘導され、コントロールされてしまうということです。

感覚というのは「数量」や「実体」よりも有力な“現実”です。言い換えれば、私たちが触れる「実体」や「数量」というのは、常に感覚によって“汚染”されている、ということです。

我々は現実というよりむしろ、感覚に取り囲まれて日々を過ごしている。ですから、他人に支配されない人生を望むのであれば、いまあなたが知るものよりもずっと広範囲の感覚を意識し、それらを深めていくことが必要です。

しかし、ここで問題があります。それは、感覚を広げ、そして深める手段を「学ぶ」道はほとんど絶無に近いということです。感覚を深める道は、学ぶというよりは師について習うものであり、その機会に恵まれなければ、上達どころか、そのようなテーマが存在することにすら、気づくことができないのです。

 

 

名越康文メールマガジン「生きるための対話(dialogue)

2015年7月6日 Vol.103
目次

00【イントロダクション】「他人に支配されない人生」のために必要なこと
01【近況】類人猿分類(『ゴリラの冷や汗』)がブレイクした理由/「考える」とは何か02【コラム】カバンには数冊の「読めない本」を入れておこう
03カウンセリングルーム
[Q1]勝ち負けと怒りについて
[Q2]恋愛が面倒です
[Q3] やりたいことが多すぎてひとつに選べない
04精神科医の備忘録 Key of Life
・悪口を言うと運気が悪くなる
05講座情報・メディア出演予定
【引用・転載規定】

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2015年7月の公開講座予定とメディア出演予定を掲載

2015年07月05日(日)03時35分40秒

本日以降の公開講座・イベント予定は下記のとおりです。

また、テレビ、ラジオ、雑誌などは「メディア出演情報」をご覧ください。

 

2015年7月の公開講座情報

 

●7月10日(金)18:30~20:00

北海道千歳市教育委員会「子育て講演会」

 

●7月17日(金)19:00~22:30

福岡「名越康文塾」

http://saintcross.jp/?p=666

 

●7月19日(日)13:30~16:00

東京・巣鴨「名越式性格分類ゼミ」

http://nakoshisemi.yakan-hiko.com/

※メルマガ購読者割引あり

 

●7月22日(水)19:00~

名越康文の「こころカフェ‘R’ 」 第3回

http://cocorocafer3-ktbkbt.peatix.com

※メルマガ購読者キャッシュバックあり

 

●7月25日(土)13:00~16:00

六本木ヒルズハリウッドプラザ5F

高野山大学「臨床宗教の新地平」 ~密教と心の技法~

http://www.koyasan-u.ac.jp/notice/event/detail/69