メルマガ「生きるための対話」12月1日号(Vol.089)を配信しました!
名越康文メールマガジン「生きるための対話 dialogue」2014年11月17日 Vol.088を配信しました!
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以下、巻頭コラムを掲載いたします。
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00【イントロダクション】「コミュニケーション力のある人」なんてそうざらにはいない
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何かにつけ、コミュニケーション力が求められる時代だと言われますが、そもそ
も、コミュニケーションって何なんでしょうね。
私の考えるコミュニケーションは、少なくとも「前提を共有すること」ではない、
と思っています。他人と「ああ、それわかる!」というふうに前提を共有するこ
とは大切なことですが、それはむしろ、コミュニケーションの「入り口」です。
むしろ気づかないうちに共有した前提や見えない壁を突き崩す契機を、他者から
得る。それこそが、コミュニケーションの本質ではないでしょうか。
他人の内面に肉薄すればするほど、そこには浅はかな理解や共感を絶した、底知
れぬ様相が立ち上がってきます。私たちは、あまりに理解しがたいその現実を前
にしてうろたえます。
実はこのとき生まれるのが「欲」です。欲の本質とは、それまでの固定観念に凝
り固まった「私」が動揺しはじめ、なんとか相手を理解したい(あるいはコント
ロールしたい)と思い、じたばたと足掻きはじめたとき生じる、衝動のようなも
のです。
ともあれ、他人とのコミュニケーションというのはこのように、大変な困難を伴
うものである、ということを知る必要があります。どんな人でも、当たり前のよ
うにやっているように思われがちですが、コミュニケーションをとる、というこ
とは、実はかなり高度なことなのです。
例えば家族など、近しい人の言葉にこだわり、つまずく人は、相手の人格や表現
ではなく、まず自らのトラウマを検証してみる必要があります。トラウマは痛み
であり、痛みはそのまま、他人を断罪する感情や知恵に変わってしまうからです。
お蕎麦屋さんが出前でたくさんの蕎麦を重ねて持ちながら自転車に乗るように、
自己(自転車)のバランスをとりつつ、他者(蕎麦)との関わりを持つ。それが
できたとき、あらゆる瑣末で些細なコミュニケーションが、アートに昇華するの
ではないでしょうか。
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今週の目次
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00【イントロダクション】「コミュニケーション力のある人」なんてそうざらにはいない
01【コラム】なぜ秀吉はあれほど利休を恐れたのか 「常識」との正しいつきあい方
02精神科医の備忘録 Key of Life
・想いとは言葉を超えているから想いである
03【連載】読むこころカフェ(27)
・「心のリセット」はポジティブシンキングよりも実践的
04カウンセリングルーム
[Q1] 『今、ここ』に集中している心の状態とは?
[Q2]情緒不安定な女性とのつきあい方
[Q3]家を片づけようと思います
05講座情報・メディア出演予定
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