心理学が与えてくれる翼
「物は考えよう」という言葉があります。
しかし、恋愛にしても、家族関係にしても、問題が起きていること自体は、きっと事実なのでしょう。だとすれば、それをなかったことにはできません。
でも、悩みごとをなくすことはできなくても、その「重さ」を変えることはできるんです。
量子力学の研究成果によって、物質の重さはそのもの自体に備わった性質というよりは、「場」との相互関係によって定まるということがわかってきているそうです。
例えば、ヒッグス粒子の影響を強く受ける陽子や中性子には質量が生じますが、光子(フォトン)は、ヒッグス粒子の影響を受けないので、質量が生じない、というようにです。
悩みの「場」にどっぷりと浸かっている時、その悩みはまるで、底なし沼のように、深く、にっちもさっちもいかない、大変なものに感じられるでしょう。
しかし、その上空を滑空する鳥にとっては、悩みの存在は感じられても、その「重さ」は、まるで存在しないかのように軽くすることができるのです。
悩みの本体は、その内容よりはむしろ、重さにこそある。
もし心理学がみなさんの力になることがあるとすれば、それはおそらく、悩みの「重さ」を、それ以前には想像もできなかったほど軽くして、その人が大きく羽ばたいていくお手伝いをすることにあるのでしょう。
名越康文メールマガジン 生きるための対話(dialogue)
2017年9月4日 Vol.155
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今週の目次
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00【巻頭言】心理学が与えてくれる翼
01【近況】名越式性格分類ゼミ第2回認定試験の採点を終えて
02【心理学】「正しく疑う」ことは可能でしょうか? メディアリテラシーの心理学
03カウンセリングルーム※今週はお休みです
04【読むこころカフェ】「隠居宣言」で集注欲求を手放すことができた
05精神科医の備忘録 Key of Life
・状況を把握できていないのは当然のこと
05講座情報・メディア出演予定
【引用・転載規定】
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