【メルマガ】VRの進化と感覚的身体の変容


先日、「シューイチ」という番組に出させていただいた時に、KAT-TUNの中丸雄一さんがレポーターになって「東京ゲームショー」の様子がレポートされていました。中丸さんは知る人ぞ知るゲーマーなのですが、その彼がやや仕事のレベルを超えて興奮して伝えておられたのが、VR(バーチャルリアリティ)の進化でした。

おそらく、2016年の末から来年にかけて、エンターテイメントの世界を中心にVRというものが僕らの生活空間に一気に流れ込んでくるのではないか、と予想しています。ゲームに関心がない人も、将来的にはホログラムでできたAI(人工知能)とコミュニケーションを取って生活をする未来がすぐそこまできているかもしれない。ロボットとの共生よりむしろ映像人格(ホログラムやバーチャルリアリティ)との共生の方が先なのではないか、とまで思いました。そう考えると、決して他人事ではないですよね。

もちろん、そんな未来なんていらない、という人も少なくないはずです。今の生活で十分だ、進化なんかいらないよ、と。

ただ、僕の考えでは、こういう「文化的革新」というのは、必ずしも「技術革新」だけで生じるものじゃないんです。僕ら自身の潜在的な心や身体の変化。そういうものがなければ、本当の意味でムーブメントにならない。だから、文化的革新が起きるのは、そのきっかけとなる技術革新からは10年、場合によっては数十年のタイムラグが必要なんです。

先日「ポケモンGO」で一気にブレイクしたAR(拡張現実)もそうですが、技術そのものは10年かそれ以上前からかなりのレベルに達していたものが、あるタイミングで雪崩を打ったかのように世界中に広がっていく。このタイムラグを作っているものこそが「身体感覚の変化」です。

変な例えですが、一回も山登りをしたことがない人は、山を観たとしてもその大きさとか、登ることの大変さとか、登りきった時の爽快感ということをイメージできないですよね。今や僕らはVRによる体験を、「なんとなく」イメージできるようになっているように思います。こういう身体感覚の変容が、文化的変容の条件となるんです。

技術革新だけではなく、「技術革新による身体感覚の変容」がもたらされない限り、文化的革新というのは起きない。技術革新というのは、いわば「地中のマグマ」のようにエネルギーを蓄えはするけれど、それが地表に火山として噴火していくには、僕らの身体感覚の変容が必要です。今回の東京ゲームショーのレポートを観ていて、僕はVRは「そのタイミング」が来たのではないか、と感じました。

「VRって、なんとなく楽しそう」という印象を持てる程度に、VRの技術と、私たちの身体感覚が共振しつつあることを感じる中丸くんの熱気あふれるレポートでした。

 


名越康文メールマガジン 生きるための対話(dialogue)

2016年12月19日 Vol.138
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今週の目次
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01【近況】VRの進化と感覚的身体の変容/読者体験報告募集「心理学を学んでいて、こんないいことがありました」

02【カウンセリングルームPick Up!】

・人生に意味なんてあるんでしょうか?

03【コラム】何をやっても達成感を感じられないのは危険サイン?

04【論考】人はいつでも生まれ変われる

05精神科医の備忘録 Key of Life

・人生の脇道に気づく

06講座情報・メディア出演予定

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