メルマガ「生きるための対話」 Vol.062を配信しました!


名越康文メールマガジン 生きるための対話(dialogue)2013年10月21日号(Vol.062)を配信しました。

目次は以下の通り。

 

01「できる人」の時間は伸び縮みする
02 カウンセリングルーム
【Q1】「今ここ」に集中するって、どういう感覚ですか?
03【私家版】門外漢の仏教論(6)
・心を鎮めれば人生が変わる
04 精神科医の備忘録 Key of Life
・「個」に戻り、「今」を生きる
05 塾通信(44)
・怒りの制御と体癖論
06 講座情報・メディア出演予定
【引用・転載規定】

 

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01 │ 「できる人」の時間は伸び縮みする

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■時間とは「妄想」である

 

「時間がない」「時間に追われる」「自分の時間が取れない」「時間を有効に使えない」といった、<時間>にまつわる質問を受けることがよくあります。

 

そういう悩みを抱えている方がまず気をつけたほうがいいのは、そもそも「時間」を主語や、目的語にしている時点で、それはかなり妄想的な発想に陥っている可能性が高い、ということです。

 

言いかえれば、昨日、今日、明日と時間を区別すること自体が、実は妄想的だということです。「時間が……」「時間に……」ということが頭に浮かんでいる状態では、僕らは目の前のことに集中できていません。そういう悩みが生じている瞬間、その人は「時間の妄想性」に足元をすくわれているんです。

 

ただ、そうはいっても、僕らはそう簡単に時間から自由になることはできません。少なくとも現代人にとって、時間という観念(妄想)は非常に強固で、そこから解放されることは容易ではない。「時間なんて気にしない!」と心に決めただけでは、どうにもならないんです。

 

今回は、時間の捉え方を変えるひとつの方法として「時間を空間的に捉える」ということを提案してみたいと思います。時間をイメージで捉えるとき、僕らはたいてい「線」で捉えます。それを三次元的に広げ、「チューブ」のようなイメージに変えてみる。

 

左側の過去から、右側の未来に向かって、太さを伸び縮みさせながら流れていくチューブをイメージしてみる。そうすると、「横軸」の時間の流れに対して、「縦軸」や「奥行」に向かって伸び縮みするチューブの太さが、時間の「濃さ」「密度」を表すことになります。その時間が自分にとって濃密であれば時間のチューブはどんどん「太く」なり、その時間を集中して過ごすことができなければ、時間のチューブはどんどん「細く」なっていく、というわけです。

 

そうやって時間というものをとらえ直してみると、時間は決して均一ではなく、いわばウインナーソーセージのように伸び縮みしている様子がはっきりとイメージできてきます。

 

もちろん、これもひとつの妄想的な捉え方に過ぎない、ということもできます。先に述べたように、過去、現在、未来というのも妄想に過ぎないわけですから。でも、こういう「伸び縮みする時間」のイメージを描ける人は、少なくともビジネスや実務のレベルにおいては「時間の使い方が上手」になれるんです。

 

なぜかというと、「時間のチューブ」が太くなっている時間帯を上手に使うと、「細い時間帯」にがんばるのに比べて何倍、場合によっては何十倍もの仕事をこなしたり、思索を深めたりすることができるからです。読書でいえば、「細い時間帯」には、1時間かかっても5~10ページ読むのがやっとだという人が、「太い時間帯」には、100ページ以上、薄めの新書なら読み切ってしまうことすらあるぐらい、すらすらと読み進めることができる。

 

そういう「伸び縮みする、三次元的な時間」を捉えられるようになると、少しだけ、僕らは時間の呪縛から自由になれると思うんです。

 

 

■「太い時間」を上手に使うのが<時間の技法>の真髄

 

「時間のチューブ」は、必ず周期的に伸び縮みします。後で述べますが、いわゆる典型的な「うつ」状態でない限り、「太い時間」の後には必ず「細い時間」がやってくるし、「細い時間」の後には「太い時間」が待っています。

 

そういう意味では、たとえ「細い時間」に陥ってしまったとしても、そう心配することはないわけですが、問題は「細い時間」にしても「太い時間」にしても、それが10分続くのか、1時間続くのかは誰にもわからないということです。

 

 

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