日記(ブログ)


精神科医の備忘録~key of Life。臨床、講演、テレビ、ラジオ……精神科医の東奔西走の日々。

【メルマガ】「深刻になる」という病

2015年04月22日(水)09時02分21秒

※メルマガVol.098(2015年4月20日)を発行しました! ご購読はこちらから

 

「深刻になる」という病

 

メルマガや講座でいただく質問をお聞きしていると、自分自身の問題について「深刻に」考えてしまって、身動きがとれなくなっている方がしばしばおられます。

でも、残念ながら、物事を深刻に考えてしまうことほど、無駄なことはありません。

こんなことを言うと、怒り出す人もいるでしょうね。「自分の人生に真面目に向き合っている人に、なんてひどいことを言うんですか」と。「精神科医の風上にも置けない奴だ!」と思う人もおられるかもしれません。

しかし、物事を「深刻に」考えることは、「真剣に」考えることとはまったく違います。むしろ「深刻になる」ということは、その人本来の思考能力を奪う枷といっても過言ではないのです。

そして、さらに臨床的な視点から言わせていただくならば、物事を深刻に考え込めば考え込むほど、周囲の人間は、その人をまともに扱ってくれなくなります。「深刻な人」は、他人の食い物にされることはあっても、一人の人間としてきちんと向き合ってもらえなくなる。これは間違いなく、冷徹な社会的現実です。

なぜそんなことが起きるのか。それは「深刻になる」ということが、世界よりも、他人よりも、何よりも「自分」への関心が強くなることによって引き起こされる、ひとつの心的状態に過ぎないからです。別に深刻になったから真理に近づくわけでもなければ、良い考えが降りてくるわけでもありません。深刻さというのは、ただただ「自分」への関心を高める心の働きに過ぎないのです。

必要なことは「深刻になる」という病から脱することを決意して、物事を真剣に考えることができる自分を取り戻すことです。そうすれば、周囲の人もまた、あなたが本来の自分を取り戻す上での、心強い支援者となってくれるでしょう。

人間の知性がもっともその力を発揮するのは、何かを考えているときではなく、何かについて考えることを停止する、その瞬間です。何が考えるべきことであり、何が考えるべきことでないのかを直覚し、実行するということ。

人間は考える力が足りないのではなく、妄想によって正しく考えることをいつも阻まれているだけなのです。その「枷」を外す方法はただひとつ。毎日、きっちりと汗をかく程度に身体を動かすこと。身体を動かさずに深刻に悩む時間ほど、最低のものはありません。

日々、身体を動かしていれば、自ずと答えは見えてくるはずです。

 

 

 

名越康文メールマガジン「生きるための対話

2015年4月20日 Vol.098
目次

00【イントロダクション】「深刻になる」という病
01【コラム】「本気で伝える」ことの大切さ 追悼桂米朝師匠
02精神科医の備忘録 Key of Life
・人は複数の時間を生きていい
03カウンセリングルーム
[Q1] 親友と呼べる友達がいない
[Q2] 自分に自信が持てない
04読むこころカフェ(32)
・捨てるべきは他罰性
05講座情報・メディア出演予定
【引用・転載規定】

 

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【メルマガ】「本気」という無意識のゴンドラに乗るために

2015年04月06日(月)05時58分46秒

※メルマガVol.097(2015年4月6日)を発行しました!

 

「どうすればいいですか?」と聞かれると、私は「本気ですか?」と聞き返します。

何かにつけて「どうすればいいですか?」と聞きたがるのは、現代人の大きな病といえます。というのも出会い頭に「どうすればいいか」を聞いて、それをやり遂げた人を私は知らないからです。人から「方法」を授けられたからといって、それを実践できるかどうかはまったく別の話です。少なくとも、それを半年や一年といった期間、続けることは難しい。

それは「自発性がなければ人は行動しない」ということですが、それ以前に、そもそも人は滅多に、本当の意味で「他人に問う」ということをしない、ということでもあります。僕らが日常の中で目にする「問い」に見えるものの多くは他者への無意識の「謎かけ」であり、相手をコントロールしようという試みに過ぎないのです。

 

仏教には自内証という言葉があります。自己を証するものは内側にある、という意味だけれど、だとすれば、問いというのはもともと、自分の外にいる「誰か」ではなく、自分の「内側」に向けられたものでなければならないということです。

自分自身ではなく、他人に「どうすればいいですか?」と聞きたがる。その人に欠けているものは「方法」ではなく、「本気になる」ことだと私は考えます。

本気になり、真剣になることで初めて門は開かれます。といっても、私たちは「本気になるぞ」と心に決めたからといって、すぐさま本気になれるというものではありません。

私たちはしばしば、自分が本当にやりたいことを後回しにして、逃げようとします。本当にやりたいことをやって失敗したり、恥をかいたりするのが嫌だからです。しかし、そこから逃げているうちに、人生の月日は光のように過ぎていってしまうでしょう。

「本気になる」ということは、環境と自分との間に生じた、絶妙な駆け引きの結果です。つまり、多くの人が想像しているよりもずっと、「本気」というのは状況依存的なひとつの「状態」なのです。

ですから、単に「本気になるぞ!」というような意識づけによってコントロールすることはできません。環境と自分との間を整えて、「本気の時間」を大切に育み、確保していくことが必要です。具体的には部屋の片付け、道具磨き、勉強や学びの場所選び、スマホ依存の断ち方、友達の選び方、家族との距離の取り方といった多岐にわたった取り組みが求められることになるでしょう。

 

 

 

名越康文メールマガジン「生きるための対話

2015年4月6日 Vol.097
目次

00【イントロダクション】「本気」という無意識のゴンドラに乗るために
01【ピックアップ】意志よりもはるかに強い「場(環境)の力」
02【コラム】五月病の正体 「どうせ……」というくせものキーワード
03カウンセリングルーム
[Q1]鬱病の息子に親ができること
[Q2]体癖によって後悔や妄想の中身は違う?
[Q3]両親を仲直りさせたい
[Q4]何をやっても冴えない人はどうすればいい?
04精神科医の備忘録 Key of Life
・時間こそ妄想の本丸
05講座情報・メディア出演予定
【引用・転載規定】

 

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【メルマガ】体癖論(性格分類)関係のバックナンバー一覧と購入方法について

2015年03月26日(木)01時44分16秒

以前まとめた体癖論(性格分類)関係のバックナンバー一覧を更新しました。

また、購入しやすいように、Vol.ナンバーを入れました。

 

名越康文のメールマガジン「生きるための対話」体癖論(性格分類)関係のバックナンバー一覧

 

・体癖論入門(Vol.013)

・9種体癖を知る 前編(Vol.014)

・9種体癖を知る 後編(Vol.015)

・10種分類表の見方(Vol.021)

・3種体癖(Vol.022)

・5種体癖(Vol.026)

・“陰の魅力”6種体癖(Vol.027)

・ビートルズで学ぶ体癖論(Vol.030)

・ “引き寄せ”の魅力、4種体癖(Vol.031)

・6種のしつけ/性格と体癖(Vol.032)

・ 4種の支配力(Vol.034)

・観念に生きる1種体癖(Vol.038)

・博愛と孤独の10種体癖(Vol.045)

・「敵」と書いて「友」と読ませる 男気の7種体癖(Vol.049)

・負けない戦と感謝の気持ち 8種体癖(Vol.050)

・2種体癖の「聞く力」(Vol.059)

・怒りの制御と体癖論(Vol.062)

・【Q&A】 6種の人生(Vol.064)

・【対談】類人猿分類の産みの親・岡崎和江さんに聞く『ゴリラの冷や汗』ができたわけ・第1回 ボノボにハゲはいない!?(Vol.083)

・【対談】類人猿分類の産みの親・岡崎和江さんに聞く『ゴリラの冷や汗』ができたわけ・第2回 人類は「混沌」を作ることで生き残って来たのかもしれない(Vol.084)

・天才はなぜチビなのか?(前編)(Vol.085)

・天才はなぜチビなのか?(後編)(Vol.086)

・【Q&A】6種の美学について(Vol.087)

・体癖の重要参考資料!? 甲野善紀先生の体癖を考える(Vol.092)

・3種体癖の世界をつかむ(Vol.095)

 

バックナンバーの購入方法について

定期購読中の方も、そうでない方も、バックナンバーは1号ごとに購入できるそうです(料金的には定期購読のほうが割安ですので、定期購読をお勧めしますが)。

以下、購読の手順をご案内します。

 

1.夜間飛行トップページ(yakan-hiko.com/)からログインし、名越康文のページを開く

 

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2.購入したいバックナンバー右のチェックボックスにチェックを入れて、「選択した号を購入する」をクリック

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3.希望の支払い方法(クレジットカード、携帯決済、ウェブマネーなど)を選択し、決済してください。

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※バックナンバー購入後は、誤って消去してしまった場合でも、何度でもダウンロード可能です。

 

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【メルマガ】「2週間1単位」で生活を整える

2015年03月18日(水)09時04分21秒

※メルマガVol.096(2015年3月16日)を発行しました!

 

 

仕事でも、趣味でも、長年続けていると「最近成長していないなあ」とか「同じところに留まってしまっているなあ」と感じることがあります。そういうとき、多くの人は自分の努力不足を反省します。「もっとがんばらなきゃなあ」というふうに。

でも、私のみるかぎり「がんばろう」という気持ちが不足することによって物事に取り組めなくなっているという人は、それほど多くはありません。たいていは、何か余計なことに時間を取られ、体力を消耗させ、その結果として、「がんばろう」という気持ちを完全燃焼させることができていないだけなのです。

ですから「前に進めていないなあ」と感じたときには、自分の努力不足に目を向けるのではなく、自分の生活習慣の中にある「ロス」「無駄」に目を向けましょう。

たとえば不必要な夜更かし、本質的ではないおしゃべり、消耗する長電話。人の世話もどこかやり過ぎているのは、自分が心のバランスを崩しているからです。そこから勇気を出してカットし始めると、案外自然に、その人の努力は正しい方向に向かい始めます。

では生活習慣の中にあるロスや無駄をどのように見極めれば良いのか。私の場合、生活習慣を「2週間1単位」で捉えるようにしています。1週間では少し短い。2週間ぐらいで捉えれば、自分がやりたいこと、行きたい場所、過ごしたい時間を概ね網羅できるはずです。そして、「それ以外の場所」に行かないように、「それ以外のこと」をルーチンから外していきましょう。

世界(見聞)は広く、生活は狭く、そして楽しく。

お気に入りのお店を見つけたら、2週間に1度は通いましょう。同じお店に定期的に通っていると、そこは実は、この世でもっとも変化に富んだ場所だということに気づきます。さまざまな場所に行くことが変化なのではありません。同じ場所に新鮮さを感じることこそが、変化なのです。

誰しも、生きるということにどこか明確に恐怖を覚えています。だからこそ、生活習慣を整え、身体の芯のところで明るさを手に入れておかないと、私たちは生きていくことすらできないのです。

 

生活習慣を整えること。これは実は「自分でやる」以外の方法がありません。孤独であることは、なんなら最大の強みなのだと心得ましょう。

 

 

名越康文メールマガジン「生きるための対話

2015年3月16日 Vol.096
目次

00【イントロダクション】「2週間1単位」で生活を整える

01【コラム】「笑いの心理学」試論

02精神科医の備忘録 Key of Life

・得意分野を封印する

03カウンセリングルーム

[Q1] 感情のアップダウンを静めたい

[Q2] 4年間があっという間に過ぎてしまいそうです

[Q3] 人に合わせることに気を遣い過ぎて疲れています

04読むこころカフェ(31)

・「このままでいいのか」という思いこそがチャンス

05講座情報・メディア出演予定

【引用・転載規定】

 

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※月2回発行、500円+税(月額)。kindleや各種電子書籍リーダー対応。購読開始から1か月無料! まずはお試しから。

※kindle、epub版同時配信対応!

 

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【メルマガ】21世紀に生きる日本人にとっての、最前線の戦い

2015年03月04日(水)08時16分31秒

※メルマガVol.095(2015年3月2日)を発行しました!

 

 

「これをやれば(読めば)こうなれますか?」

「こうなりたいと思うんだけど、どうしたらいいですか?」

 

いま、少なからず多くの人が、こういうタイプの思考に囚われているように思います。この、いわば<目的論的思考>こそが、私は多くの現代人から生きる気力を奪う悪癖だと考えています。

 

私たちは常に「今」を生きています。「今」というものを、目的を達成するための手段におとしめてしまう目的論的思考が、人から充実した生を奪ってしまう。それはちょっと考えてみれば言うまでもないぐらい、当然のことといえるでしょう。しかし、当の本人はその構造になかなか気づくことができません。目的論を妄信すればするほど、その人は「今」から目を背けるようになってしまいます。

 

この悪循環から抜け出して、次の段階へと歩みを進めるための方法は、実はシンプルです。それは、毎朝、決まった時間に起きること。そのための習慣を身につけるべく、節制に取りかかること、です。

 

あまりにも当たり前で、簡単な方法です。でも、これを実践する人は、本当にまれです。ほとんどの人は、まやかしの代替案に飛びつくことで、この当たり前の方法から目を背けようとします。

 

毎朝きちんと同じ時間に起きて、身体を動かし、間食はせずバランスよく食べて、よく眠る。たったこれだけのことで、確実に人生が明るい方向にシフトしていく。そう言われても「信じられない!」という人もいらっしゃるかもしれません。私が抱えている心の闇はそんなものじゃない、という方もおられるかもしれない。それくらいのことで変わるほど、人生は甘いものじゃない、という人もいるでしょう。

 

でも、私たち現代日本人の抱える心の問題というのは、そのほとんどが能力やエネルギーの不足というよりは、過剰なエネルギーを制御できないことによって引き起こされているものです。生活習慣を整え、過剰なエネルギーを制御して、「詰まり」をほぐして、適切な「流れ」を取り戻す。これこそが21世紀の日本に生きる我々にとっての、最前線の戦いなのです。

 

真の力を持つ者は、力を制御する方法を知っています。自分の力を信じられない者にかぎって、無闇に力を振るい、制御不能に陥ってしまう。生活習慣によって、エネルギーの過剰を制御するということ。そのことに目を向ける人が一人でも増えていくことが、大げさではなく、21世紀の日本の未来を変えていくと私は考えています。

 

名越康文メールマガジン「生きるための対話

2015年3月2日 Vol.095
目次

00【イントロダクション】21世紀に生きる日本人にとっての最前線の戦い

01【コラム】「相手の中に入る」という孤独な探求

02精神科医の備忘録 Key of Life

・ブラック・ジャックはやっぱりすごい

03カウンセリングルーム

[Q1]ゴリラとオランウータンの判別法は?

[Q2]人前に出るときは「別のキャラクター」を作ったほうがいい?

04塾通信(56)

・3種体癖の世界をつかむ

05講座情報・メディア出演予定

【引用・転載規定】

 

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※kindle、epub版同時配信対応!

 

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