日記(ブログ)


精神科医の備忘録~key of Life。臨床、講演、テレビ、ラジオ……精神科医の東奔西走の日々。

【メルマガ】心に向き合う勇気

2016年03月21日(月)02時00分06秒

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仕事や恋愛、家族や友人関係。

人生にはさまざまな課題があります。

そうした課題をなんとかやりくりしながら、僕らは日々を過ごしています。

 

そしてそうした日々の雑事に奔走するなかで、「心」の課題というのは多くの場合、後回しになり、忘れ去られてしまいがちです。

 

しかし、「心」の課題には、長い人生の中ではどこかで必ず、向き合わなければならないときがやってきます。それを解決する展望を持たないことには一歩も前に足を運ぶことができない。人生にはいつか必ず、そういう瞬間がやってくるのです。

 

仕事もがんばっている。

家族もいる。友人にも恵まれている。

にもかからずふとした瞬間に、心に「すぅっ」と寂しい風が吹き抜ける。

おそらく、僕のメルマガを呼んでくれている方々の多くは、どこかでそういう感覚を抱いたことのある人たちなのではないかと思います。

 

学生でも、ビジネスマンでも、子育て中の主婦の方であっても、どれだけ満たされた生活を送っていても(いや、満たされた生活を送っているからこそ、でしょうか)、ふとした瞬間に「僕の(私の)人生は、このままでいいのだろうか」という思いがよぎる。

 

ただ、多くの場合、そういう思いは一時の気の迷いとして、頭の片隅に追いやられます。もしかすると人によっては、目上の人や友人から「そんな余計なことを考えるのは、あなたが人生に過剰な期待をしているからだよ」と諌められた経験のある方もおられるかもしれませんね。

 

「人生に意味なんかない。人というのはただ生きて、死んでいくのだ。そこに意味なんかない」と。

 

そうした考えを受け入れて、僕らは段々と、心の課題に向き合うことをやめていきます。しかし心の奥には、はっきりと言葉にならない、「ほの暗い諦め」だけが残るのです。

 

 

世の中にはさまざまな人生訓があります。

 

「何のために生きるのか。それを知るために、今日1日を精一杯生きればいいんだよ」

「生きることは困難の連続だ。でも、だからこそ人生は豊かで、充実したものになるんだよ」

 

こうした人生訓で、日々を明るく生きることができる人もおられるでしょう。でもおそらく、それだけでは納得できない人もいる。たぶん、僕のメルマガを読んでくれているのはそういう人たちです。

 

なぜなら、僕自身が、こうした「人生訓」では納得できずに、悶々とした日々を送ってきた人間だからです。僕の言葉に関心を持つ人はおそらく、そういうところに共鳴してくれた人たちだと思います。

 

もちろん、それらの人生訓に意味がないというつもりはありません。もちろん、これらの言葉には耳を傾けるべきものはありますし、時には大きな支えになってくれることだってあるでしょう。しかし、それだけでは僕の、あるいはみなさんの「心の隙間に吹く風」は決して止むことはありません。

 

なぜ、人生訓では心の隙間風が止まないのか。それは……<続きはメルマガ本文をご覧ください>

 

名越康文メールマガジン 生きるための対話(dialogue)

2016年3月21日 Vol.120

<心に向き合う勇気/乖離と融合の心理学——人を成長させる「サブ垢」との対話/瞑想を実践する方への4つのアドバイス/類人猿分類のゴリラタイプにリーダーは務まりますか?/ヴィパッサナーと真言密教の瞑想はどこがどう違うのか>

 

00【イントロダクション】心に向き合う勇気

01【コラム】乖離と融合の心理学——人を成長させる「サブ垢」との対話

02精神科医の備忘録 Key of Life

・量子論と隣町珈琲とUSJ

03カウンセリングルーム Pick Up!

[Q1] 瞑想を実践する方への4つのアドバイス

[Q2] 類人猿分類のゴリラタイプにリーダーは務まりますか?

04塾通信(特別編)欠落こそが人間の可能性(3)

・ヴィパッサナーと真言密教の瞑想はどこがどう違うのか

05講座情報・メディア出演予定

【引用・転載規定】

 

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【メルマガ】自己肯定感を高めるにはどうすればいいですか?

2016年03月10日(木)08時42分22秒

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[Q]自己肯定感を高めるには?

 

vol.105で「別居する」という簡潔なお答えを頂けたAと申します。

 

Vol.105

http://yakan-hiko.com/BN4013

 

毎回ありがたい気持ちで拝読しております。

特に今回のvol.116は今の私に必要なお話ばかりでとても感謝しています。

 

Vol.116「トラウマもまた、私たちの心の現実である」ほか

http://yakan-hiko.com/BN4668

 

<中略>

 

前置きが長くなってしまいましたが以下から質問です。

 

歌手デビューおめでとうございます。いつまでも夢を追い続けるって素敵ですね。お陰様で私も瞑想とストレッチを始めて、一周年を迎えることができました。名越先生の教えがなければ実現不可能な話です。ありがとうございます。

 

私は所謂「自己肯定感」が低く、カウンセリングを受けています。カウンセリングの先生からは自分の中の子供の自分と仲直りするため、毎日話しかけるように指導されています。

始めて数ヶ月経ちますが、未だに子供の自分がそっぽを向いていて上手くいっていない感じです。

 

名越先生でしたら「自己肯定感」を高めるために何をすれば良いとアドバイスなさいますか?

 

 

[A]自我を緩めて、「機能としての自分」を感じるということ

 

ご感想とご質問、ありがとうございます。

 

さて、ご質問の自己肯定感については、いま専門家のカウンセリングを受けておられるということですので、少なくともカウンセラーの方との信頼関係がしっかりとしているのであれば、そのまま続けていただいたほうが良いかと思います。

 

そのうえで、私から付け加えることがあるとすれば、西洋心理学的なカウンセリングと並行して、東洋心理学的なアプローチを取り入れてみる、ということです。

 

まず「自己肯定感」という概念はそもそも、西洋心理学的な枠組みのものである、ということを理解しておく必要があります。それはつまり、「自我を確固たるものとして確立する」ということを、暗黙の前提にしたものだということです。「自己」を「肯定する」という言葉には、そういうニュアンスというか、価値観が予め含まれているわけですね。

 

一方、仏教心理学などの東洋的なアプローチでは、自我を縮小し、緩めていくことによって、心から「重さ」を取り払っていく、という考え方です。ここだけみると、西洋心理学とは真逆のことを言っているように聞こえますが、それは……

 

 

<この続きは名越康文メールマガジン「生きるための対話」2016年3月7日号(Vol.119)をご購読ください>

 

 

名越康文メールマガジン 生きるための対話(dialogue)

2016年3月7日 Vol.119

<名越式性格分類ゼミ認定制度開始/自己肯定感を高めるには?/人はなぜ「モテたい」のか/テレビとインターネットの未来像を心理学的に考察する/ヴィパッサナー瞑想が目指す境地とは/ほか>

 

目次

00【ご案内】名越式性格分類ゼミ認定制度の開始と第1回認定試験のご案内

01カウンセリングルーム Pick Up!

[Q] 自己肯定感を高めるには?

02【コラム】人はなぜ「モテたい」のか

03【近況】テレビとインターネットの未来像を心理学的に考察する

04精神科医の備忘録 Key of Life

・情緒に「普遍性への回廊」はあるか

05塾通信(特別編)欠落こそが人間の可能性(2) ヴィパッサナー瞑想が目指す境地とは

06講座情報・メディア出演予定

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【メルマガ】「世の中が間違っている!」と感じたら

2016年02月17日(水)11時04分09秒

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世の中に対して「何かが間違っている」という怒りを覚えたり、自分の力でそれを「少しでも良くしたい」と考えたりする。そのこと自体は、決して間違ってはいません。しかし、「良くしたい」と思うことと、「良くなる」ことの間には、たいへんな距離があるという現実を、私たちはついつい忘れてしまいます。ここに大きな罠があります。

 

一度でも「自分を変えよう」という努力をしたことがある人なら、「変わる」ということがいかに大変かを知っているでしょう。しかし、そういう「変わらない」個人が集まった社会を「良くする」ということの途方も無い大変さについては、なかなか想像が及びません。わたしたちは。自分自身の心がすぐに変わらないことを棚に上げながら、ついつい、社会を「すぐに」変えようと考えるのです。

 

その結果、「変わらない」ことへの苛立ちや怒りが、自分以外の他者へと向かうことになります。その先に待っているのは、他者に対する非難や批判で一生を埋め尽くす人生だけです。

 

ですから、もしもあなたが万が一「社会を良くしたい」という思いを抱いてしまったなら、少なくとも「一万年かけて良くしよう」というぐらいの気概が必要だと私は考えます。その上で、今日一日、自分自身が集中して物事に取り組めているかということだけを問うようにする。

 

仮に社会が「良くなる」ということがありうるとしたら、そういう静かな取り組みをする個人が一人、また一人と現れていく、その延長線上にほのかに芽生える希望にかけるしかない。わたしはそう考えます。

 

人間の精神は、控えめに見ても90パーセントは現実ではなく、妄想によって支配されています。ですから、その妄想を自己から切り離す作業こそが、精神生活における最低限のノルマです。それは、自分の中に分単位で雑草のように自生して来る漠然とした不快感を、その都度、刈り取ることです。

 

これは、あまり多くの人が口にしないことですが、生きるための大切なノウハウでもあります。自己責任とか、自分のことは自分でやりなさい、ということを言う人は多いけれど「自分の心の始末を自分でつけよ」ということはあまり言われない。でもこのことは、どれほどの成功者であっても、人生のどん底に沈んでいる人でも同じです。自分の心を静めることは、自分にしかできない。(なんという平等性!)

 

「社会を良くする」道もまた、ここにしか開く可能性はありません。曲がりなりにも、自分の心を整えることに取り組んでいる人には必ず、ふとした拍子に世界がささやいてきます。

 

「いまだに君はこの世界の美しさに気づいていない、このままでやり過ごしていいのかい?」

 

と。

 

「世の中が間違っている!」と感じたら、自分の心に目を向ける。そのことを忘れないでください。

 

 

<この続きは名越康文メールマガジン「生きるための対話」2016年2月15日号(Vol.118)をご購読ください>

 

名越康文メールマガジン 生きるための対話(dialogue)

2016年2月15日 Vol.118

<「世の中が間違っている!」と感じたら/ストレスとの付き合いかた/山田洋次監督と対談!/塾通信(特別編)欠落こそが人間の可能性(1)空海が私たちに伝えたかったこと/ほか>

 

目次

00【イントロダクション】「世の中が間違っている!」と感じたら

01【コラム】ストレスとの付き合いかた

02精神科医の備忘録 Key of Life ・山田洋次監督と対談!

03塾通信(特別編)欠落こそが人間の可能性(1)空海が私たちに伝えたかったこと

04カウンセリングルーム

[Q]「誘惑を軸とした人生」とは?

05講座情報・メディア出演予定

【引用・転載規定】

 

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【コラム】分析から解体へ

2016年02月06日(土)12時18分35秒

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分析の限界

 

僕たちは「分析すること」に疲れつつあるのではないか。

そういうことを、最近感じています。

 

手前味噌かもしれませんが、10年ほど前「グータン」という番組の中で僕が「分析」という言葉を使っていた当時、まだこの「分析」という言葉は、世間ではさほど一般的ではなかった気がします。しかし今や、さまざまな場面で「分析」という言葉を見かけるようになりました。

 

分析というのは、平たくいえば「構造や仕組みを明らかにする」ということです。何か事件が起きたら、事件の原因を分析する。あるいは、人間関係の問題を抱えた人がカウンセラーの元を訪れたとしたら、そこに至るまでの経緯や心理を分析する。これらはもちろん大事な営みです。わからないものがあれば、分析し、納得する解釈を見出す。それは人が生きていく上では必要なことです。

 

しかし、あまりに分析に没頭すると、人というのはだんだんと「虚無」に苛まれるようになります。それは……

 

<この続きは名越康文メールマガジン「生きるための対話」2016年2月1日号(Vol.117)をご購読ください>

 

名越康文メールマガジン 生きるための対話(dialogue)

2016年2月1日 Vol.117

<軽井沢のバス事故と尾木直樹先生/分析から解体へ/個性はエゴの向こう側に立ち上がる/緊張とこわばりは「自分」を知るマスターキー/ほか>

 

目次

01【近況】軽井沢のバス事故と尾木直樹先生

02【コラム】分析から解体へ

03精神科医の備忘録 Key of Life

・個性はエゴの向こう側に立ち上がる

04カウンセリングルーム(今週はお休みです)

05読むこころカフェ(40)

・緊張とこわばりは「自分」を知るマスターキー

0 6講座情報・メディア出演予定

【引用・転載規定】

 

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【メルマガ】トラウマもまた、私たちの心の現実である

2016年01月19日(火)03時12分11秒

 

人間の意識の可能性は無限といっていいぐらい広大です。だからこそ、意識は近視眼的にならず、できるだけ遠くへと、しかも妄想に陥らずに広げ続けることができるかが問題となるのです。

 

私たちは拳を握ることもできれば、それを緩めることもできます。しかし、私たちはしばしば、トラウマ故に、握った拳を開くことができなくなってしまいます。このとき重要なのは、トラウマもまた現実の一部であるということを認めるということ。そこからしか、トラウマからの回復はおぼつきません。

 

なぜなら、トラウマというのは常に、短絡的な感情反応を助長し、冷静な思考を阻害し続けるものだからです。逆に言えば、多くの人は主観的には「考えている」つもりであっても、「感情的になっている」だけであることが少なくない。その厳粛なる事実に、瞬間ごとに気づき続けることができるかどうか。問題はそこなのです。

 

多くの人が感情的であることは、感情的になっていい理由にはなりません。もちろん、感情的になっていいと考える人に、無理強いはいたしません。しかし、マジョリティが正しいわけではない、ということは繰り返し、言っておく必要があります。感情の坩堝の只中にありながらも微笑し、「個」として明日を目指し続けることこそが、私たちに課せられたテーマである。僕はそう考えているのです。

 

 

<ご案内>名越式性格分類ゼミ(通信講座版)第4期会員募集中!

 

すでにご案内中の「名越式性格分類ゼミ(通信講座版)」第4期会員ですが、あと数名で締め切りとなります。第5期の募集人数・時期については未定ですので、ご興味のある方はお急ぎください。

 

<<<お申し込み・詳細は下記リンク先より>>>

https://yakan-hiko.com/meeting/nakoshi.html

 

 

名越康文メールマガジン 生きるための対話(dialogue)

2016年1月18日 Vol.116

<トラウマもまた、私たちの心の現実である/容姿の劣等感との付き合い方/瞑想を日常化するコツ/話していて飽きがこない人/整理する脳、カオスを呼び込む身体>

 

目次

00【イントロダクション】トラウマもまた、私たちの心の現実である

01カウンセリングルーム Pick Up!

[Q1] 容姿の劣等感との付き合い方

02【コラム】瞑想を日常化するコツ

03精神科医の備忘録 Key of Life

・話していて飽きがこない人

04読むこころカフェ(39)

・整理する脳、カオスを呼び込む身体

05講座情報・メディア出演予定

【引用・転載規定】

 

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