【メルマガ記事から】遠距離恋愛中の彼との関係性を見直したい
名越康文メールマガジン 生きるための対話(dialogue)2014年3月3日 Vol.071より、記事の一部を無料公開します。
今週の目次(↓)から、「01【ピックアップ】遠距離恋愛中の彼との関係性を見直したい」の回答部分を掲載します。メルマガでは毎号、こうした読者からの質問に、名越康文がお答えしています。
00【ご案内】類人猿分類の本当の魅力を知りたければ3.29巣鴨へGO!
01【ピックアップ】遠距離恋愛中の彼との関係性を見直したい
02【コラム】境界線を溶かす地・沖縄
03【key of life】ルールこそが人間にとって決死のリアリティなのだ
04カウンセリングルーム
[Q1]瞑想ってどんなもの?
[Q2]真面目に就活をしない息子への接し方
05【募集】「私は見た! チンパンジーさんの生態」
06講座情報・メディア出演予定
【引用・転載規定】
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01【ピックアップ】遠距離恋愛中の彼との関係性を見直したい
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※【ピックアップ】では、カウンセリングルームに寄せられた質問の中から、特に読者の皆さんと共有したい話題を取り上げます。
[Q]遠距離恋愛中の彼との関係性を見直したい
(編集注:公開記事では元の質問文は割愛します。遠距離恋愛中の質問者は、結婚して子供が欲しいという思いを持っていますが、相手の男性は経済的な不安を理由に先延ばしにしています。数か月に一回は会うことはできていますが、質問者の女性は彼から本当に愛されているのか、不安を持っています)
[A]あなたにとっての「愛される」ってどういう状態ですか?
「愛する」と「愛される」というのはまったく別のことです。僕はこのことをいろんなところで書いているんですが、あまり共通認識にはなっていない。それぐらい、「愛」というのは混乱しやすい言葉なんだと思います。
「愛する」というのは、本来ならその人の成長に応じて、その中身が変化していく言葉です。20歳の頃の愛し方と、30歳になってからの愛し方はまったく違うでしょうし、恋人に対する愛情と、我が子に対する愛情は、まったく違うものになるという人も多いでしょう。
一方で、「愛される」というのは、自分が「こうされたい」と思う願望のことであり、それがどれくらい満たされたか、ということが問題になります。
こうやって「中身」を並べてみるとよくわかると思うのですが、「愛する」と「愛される」は、まったく別の概念です。言葉だけを見ると能動と受動の違いだけしかない、一対の言葉のように見えるのですが、実はほとんど同レベルでは論じられないぐらい、「違う概念」なのだということがわかると思います。
この点がわかっていないと、僕らはすぐ「私が愛した分の、倍くらい私のことを愛してくれないと嫌だ」と「愛する」と「愛される」をごっちゃにして悩んでしまいます。そこから抜け出す第一歩は、「愛する」と「愛される」をひとまず切り離すこと。そうしないと、僕らは際限もなく「愛される」を求め続けるようになってしまうでしょう。
これを踏まえてうえで、ご質問にお答えしてみましょう。まず、必要なことは、あなたにとっての「愛される」というのはどういう状態を指すのかをある程度はっきりさせておく、ということじゃないかな、と思いました。例えばこんなふうに、です。
「我が身を投げ打ってでも、あなたのことを守ってくれる」
→これはちょっと、ハードルが高そうですね。
「日常的に、常識の範囲内で気遣いを見せてくれる」
→これは比較的、達成できそうでしょうか。
……こんなふうに、自分が満足できそうな「愛される」のレベルを、相手がそれを達成できそうか、ということを含めて探っていく。自分が必要とする愛の内容(必要条件)と、これだけ愛されればもう十分という愛の内容(十分条件)を、自分なりに考えてみてください。
この作業をしてみると、「ああ、なんて欲深いことを求めていたんだ」と反省するかもしれないし、逆に、「あれ? 私ってこの程度のことで満足できるんだ」ということにも気づくかもしれない。
また、自分が求めている「愛される」の対象が実は自分ではない、ということに気づくことだってありえます。例えば自分が将来産むであろう子供に、その人が十分な愛情をかけてくれるかどうかということが、私にとっての「愛される」の必要・十分条件なのだ、ということに気づくかもしれない。
そうやって、自分にとっての「愛される」の必要条件と、十分条件とを考えてみると、ようやく「この人と別れたほうがいいか」「結婚したほうがいいか」ということをきちんと考えられるようになると思います。逆に言えば、この作業をやっておかなければ、ずるずると時間が無為に過ぎていくことになりがちです。
いずれにしても、「愛する」「愛される」ということの必要条件・十分条件には、絶対のモノサシというのはありませんので、「自分で考える」しか道はありません。自分で考えて、自分の体重の乗った言葉を見つけることができれば、後はそれほど深く悩むことはなくなるんじゃないかと思います。
もし、うまく考えられないようなら、5泊6日ぐらいの旅に出るのもお勧めです。旅に出ると、ふとした瞬間に、「ああ、私の求めているものはこれなんだ」ということに気づかされることもある。ご健闘をお祈りします。
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