日記(ブログ)


精神科医の備忘録~key of Life。臨床、講演、テレビ、ラジオ……精神科医の東奔西走の日々。

【メルマガ】思想という舞台と、本当の智恵について

2015年11月03日(火)10時24分29秒

「自分が知らないことを知ろうとすること」

それこそが「学び」であるということについては、おそらくすべての人が同意されることでしょう。

しかしながら、不可解なものを知ろうとすることと、既に知っていることを再確認しようとすることを、当の本人が峻別することは、実は非常に困難です。本当に慎重に物事を進めているときをのぞいて、私たちの思考というものは、ほとんどの例外なく、自己承認に向かうのです。

だから、完成度の高い思想というのは、概ね「よくできた舞台」の様相を呈します。クリアカットで完成度の高い思想の「見事さ」というのは、(現実をよく説明しているからというよりはむしろ)その「舞台性」のうちに宿っているのです。

それはそれで、無意味なものとは言いません。しかしそれは、本当の智恵ではないのです。「智恵」というものがあくまでも現実と対人関係の渦の中で試されるものである限り、それはむしろ、智慧とは真逆の存在といっていいでしょう。

本当の智恵とは「まだ居ぬ地点から振り返ること」に宿るのであり、そのリアルさの深度こそが、智恵の深さを表すのだと思います。

 

名越康文メールマガジン 生きるための対話(dialogue)

2015年11月2日 Vol.111<思想という舞台と、本当の智恵/特別対談:甲野善紀×名越康文第3回(最終回) 共同幻想の向こう側へ/9種体癖の執着心と体癖診断のコツ/ほか>目次

00【イントロダクション】思想という舞台と、本当の智恵について
01特別対談:甲野善紀×名越康文
第3回(最終回) 共同幻想の向こう側へ
02精神科医の備忘録 Key of Life
・旅の終わりに思うこと
03カウンセリングルーム(今週はおやすみです)
04塾通信(58)9種体癖の執着心と体癖診断のコツ
05講座情報・メディア出演予定
【引用・転載規定】

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<お勧め講座>

(1)名越康文ライブ☆ DIZZY NIGHT 2015
Talk & Sing♪ & Party

人間の深奥を探求しつづける精神科医名越康文が自らの内奥を凝視め、
底にひそむ光る石を拾い上げ、自らを身体に委ねるとき、言葉と歌がほとばしりでる!

日時:2015年 11月29日(日) Start:17:00(Open:16:30)
会場:GINZA lounge ZERO
DIZZY NIGHT は、3部構成のライブ・バー形式(着席/ドリンク・料理付)です。
17:00 1st Stage:講演と対談のトークライブ
・講演「(準備中)」名越康文
・対談「生きている不思議/言葉と身体」ゲスト:覚 和歌子(詩人)

18:00 2nd Stage:ブルージィなJazzライブ
Nakoshi Yasufumi LIVE2015 DIZZY NIGHT
名越康文(vo)、東京ローカル・ホンク(g,b,dr,cho)、池田みどり(p) &サプライズα

19:00 Party: 打ち上げ&ひとあし早い忘年会

申し込み・問い合わせ
http://dizzynight-ktbkbt.peatix.com

 

(2)【残席わずか 早割は11月5日まで!】 名越式性格分類ゼミ(第27回)
日時:11月22日(日)13:30~16:00
場所:アープカレッジ巣鴨(東京・JR「巣鴨」駅徒歩2分)

名越式性格分類を学ぶ少人数ゼミ。これまで、1回ごとに1つの体癖を解説してきた当ゼミですが、前回から新たなフェイズに突入! 心理学、仏教、身体論など、さまざまな角度から、性格分類の世界を多角的に掘り下げていきます。これまで、どこの講座でも踏み込んでいない、最新・最深の名越心理学講義。

詳細は「名越式性格分類ゼミ」ウェブサイトをご覧ください。
http://nakoshisemi.yakan-hiko.com/
※メルマガ購読者割引あり
※定員に達し次第締め切り

【メルマガ】時の流れを泳ぐために、私たちは意識を手に入れた

2015年10月19日(月)04時35分57秒

時間というのは、いわば水の流れのようなものです。人間は、空間の中だけではなく、時間の中に住むようになった生き物だということができるでしょう。魚が水の中で泳ぐためにヒレを獲得したように、私たちは時間の波を泳ぐために、意識を獲得したのです。ですから、意識を曇らせることは、時空の中で溺れているということだといってもいいぐらいです。

神像や仏像の目は、対象に結ばれてはいないように見えます。それは、永遠に続く時の流れの中の一コマをどう生きるかという問いを、絶えず人に想起させる慈悲深い装置なのではないでしょうか。

さぁ、今日も空気の中を意識がうまく泳げますように。

 

名越康文メールマガジン 生きるための対話(dialogue)

2015年10月 19日 Vol.110 目次

00【イントロダクション】名越式性格分類ゼミのこれから
01【近況】読者からの感想、戦後の匂い、内向きの攻撃性について
02【コラム】継続力を高める方法—飽き性のあなたが何かを長く続けるためにできること
03精神科医の備忘録 Key of Life
・コーヒーとカレー
04カウンセリングルーム
[Q1] 「償い」について
05特別対談:甲野善紀×名越康文
第2回 努力するいやらしさ、努力しないズルさ
06講座情報・メディア出演予定
【引用・転載規定】

 

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名越式性格分類ゼミ10月告知動画

熱く語ってるなー名越。これシューイチ終わったあとですぐ撮ったんですけどね。

巣鴨で月1開催している、名越式性格分類ゼミ。これまでは月1回、ひとつの体癖を取り上げる、ということをやっていたんですが、10月18日のゼミからは、しばらく『体癖以前 日本人の精神性』というテーマを取り上げたいと思っています。

なぜ、日本人の精神性を考えることが、性格分類につながるのか? ということを上の動画で語っているわけですが、その「中身」については、10月以降、ゼミにお越しいただいた皆さんからの質問も交えながら、どんどん展開していく予定です。よろしければぜひ、ご参加ください。

名越式性格分類ゼミ@巣鴨
http://nakoshisemi.yakan-hiko.com/

地方にいて、ゼミに出席できない、という方には、通信講座版もあります。こちらは月に1回、DVDで講義を見ることができる、というものです。運営上、会員募集は数ヶ月に一回しかできないそうですので、ご興味のある方はぜひどうぞ!

名越式性格分類ゼミ(通信講座版)第3期会員募集中
https://yakan-hiko.com/meeting/nakoshi.html/

【告知】名越式性格分類ゼミ(通信講座版)第3期会員募集開始!

2015年10月07日(水)08時18分15秒

名越式性格分類ゼミ事務局です。大変お待たせをいたしましたが、「名越式性格

分類ゼミ(通信講座版)」第3期会員募集を開始いたします。

第3期募集定員は50名とさせていただきます。お申し込み人数が上限に達した時
点で締め切らせていただきます。なお、第4期の募集人数・時期については未定
です。

<<<お申し込み・詳細は下記リンク先より>>>
https://yakan-hiko.com/meeting/nakoshi.html

■特典グッズをご用意!
第3期会員としてご入会いただいたみなさんには、通常のDVDに加え、名越式性格
分類ゼミ(通信講座版)の限定グッズをお送りさせていただく予定です。

■名越式性格分類ゼミ(通信講座版)の概要

「なぜこの人とはわかりあえないのだろう?」
「どうして私の言うことが伝わらないのだろう?」

対人関係はすべての人にとって永遠の課題であり、謎でもあります。
この通信講座では、名越康文心理学の根幹をなす性格分類(体癖論)によって、
人間理解を徹底的に深めていきます。

※本講座は月1回、東京・巣鴨で行われている「名越式性格分類ゼミ」の通信講座
版です。「名越式性格分類ゼミ」についてはこちらをご覧ください。
※体癖論とは、野口整体の創始者・野口晴哉氏が提唱した、体型・体質などから、
人間の感受性の違いをタイプ別に分類したもの。名越式性格分類は、野口晴哉氏
の次男・野口裕之氏(身体教育研究所所長)の体癖論をベースに、自身の臨床経
験を踏まえてまとめなおしている。

【メルマガ】想像力は人生を変えるか

2015年09月21日(月)08時48分40秒

想像力は人生を変えるか。

 

おそらく何万人もの人が繰り返し、繰り返し、このことを語ってきたことだろうと思います。しかしそもそも、想像力とはなんなのでしょうか。本当に、想像することが、自分を、世界を変えることができるのでしょうか。

 

確かに、想像力が有効に働くことによって、人の潜在能力は開花します。同じように取り組んでいたとしても、心の中が「他人からほめられたい」という承認欲求で満たされた人は、目的を達成するたびに手綱を緩めてしまうでしょう。しかし、想像力に駆動された意欲というのは目的を達成することによって、さらにエネルギーを増していきます。どれほど巨大なことを達成しても、その次の瞬間には、次のことについてワクワクし、行動を起こすことができるのです。

 

これは想像力というものが持つ、まぎれもないひとつの真実です。ただ、この逆もまた真なり、ということは忘れてはいけません。想像力がネガティブな方向に働いたときに、どれだけその人の日々の暮らしと未来とを縮小させているか。無意識のうちに、どれほど「見えない監獄」を築いているか。これもまた、途方もない現実の一側面なのです。

 

だからこそ、私たちは想像力を常に、具体的な行動と結びつけて考える必要があります。こうありたい、やってみたい。そういう前向きな想像力を、いかに今日1日の行動に結び付けるか。その作業を怠っていると、私たちの想像力は行き場を失い、やがては思わぬ方向に暴走してしまうことでしょう。

 

想像力の力を開花させようとする人は、常にそれを、高い技能と情熱的な探究と結びつけておく必要があります。思いだけでそこに技がなく、また探求の労を惜しむならば、それは我欲にしかなりません。たとえそれが、どんな清純な思いであれ、大事を達成することにはつながらないのです。

 

 

名越康文メールマガジン 生きるための対話(dialogue)

2015年9月21日 Vol.108目次

00【イントロダクション】想像力は人生を変えるか

01【コラム】「才能の芽」を摘まないために必要なたったひとつのこと

02精神科医の備忘録 Key of Life

・自分で自分の人生を経営する

03カウンセリングルーム

[Q1]方位が気になって旅に出られません

04読むこころカフェ(35)

・「痛み」から見る心と身体

05講座情報・メディア出演予定

【引用・転載規定】

 

 

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【メルマガ】無意識の中にある「他者への期待」–その功罪

2015年09月08日(火)04時18分57秒

最近気づいたことなんですが、僕ら日本人の心の中にある「他者への期待」っていうのは、その90パーセント以上が無意識のうちにあるものなんです。「もっと私のことを愛してほしい」とか「もうちょっと言うことを聞いてほしい」というように、きちんと言葉にして表現したり、自覚したりしているような「期待」というのは、その人が抱えている期待のほんの一部にすぎない。ほとんどの期待は、いわば深い無意識の底に沈んでいる(ふだん全く意識化されない)。

 

だからこそ、日本人の怒りというのは、ときに苛烈なものになる。「自分が何に対して、どのように期待しているか」という自覚がないために、その期待が裏切られ、怒りに転嫁してしまったときに、まったく歯止めがかからなくなってしまう。それは「自分がなぜ怒っているのか」がわからないから。無意識の期待に、気づいていないから。

 

もちろん、無意識の期待というのは、日本人だけが持っているものじゃありません。どこの国の人だって、程度の差はあれ、持っているものです。ただ、日本人は特に、「無意識の期待」の比重が高いんじゃないかと思うんです。それは結局、諸外国に比べて日本人の子育てが密接だから。

 

幼い頃から親があれこれ世話を焼いてくれて、非常に密接な身体的接触の中での「阿吽の呼吸」によって、言葉に出さなくても相手がやってくれる。そういう母子、もしくは父子が密着した子育ての中で育ってきた僕らの「期待」というのは、そのほとんどが無意識的なものにならざるを得ない。

 

つまり、「無意識の期待」の肥大化というのは、日本人の密な子育ての「副作用」だということです。

 

誤解のないように断っておきますが、僕は、日本人の子育てを、基本的には支持しています。「親が細やかに手をかけて子供を育てる」ということは、おそらくプラスの側面のほうが大きい。少なくとも、日本人が持つ繊細さや、高度なコミュニケーション文化というのは、こうした子育て習慣の中で培われてきたものだし、それは決して失われてはならないものだと思う。

 

しかし、そこには副作用もある。そのことは忘れてはならないだろうと思うんです。

 

 

名越康文メールマガジン 生きるための対話(dialogue)

2015年9月7日 Vol.107目次

00【イントロダクション】無意識の中にある「他者への期待」–その功罪

01【近況】善意のなれの果ての悪意/死に物狂いでやるということ

02【解説】観察力とは何か

03精神科医の備忘録 Key of Life

・共感せずに他者を認めることはできるか

04カウンセリングルーム

[Q1] 仏教に対して恐怖心を覚えています

05読むこころカフェ(34)

・他者がもたらす不快といかに付き合うか

06講座情報・メディア出演予定

【引用・転載規定】

 

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【ご案内】類人猿分類の新刊、9月11日発売決定!

 

「ガイアの夜明け」や「とくダネ!」で話題となった類人猿分類。その最新版・決定版の本を鋭意制作中です。タイトルは『類人猿分類公式マニュアル2.0  人間関係に必要な知恵はすべて類人猿に学んだ』。2015年9月11日発売です。まだ予約期間ですが、amazon総合でトップ200位に入るなど、大注目の一冊。

 

私は監修として関わらせていただきました。非常に良い本です。よろしければぜひ!(名越康文)

 

『類人猿分類公式マニュアル2.0  人間関係に必要な知恵はすべて類人猿に学んだ』

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書籍情報はこちらに掲載中です。

http://gorihiya.yakan-hiko.com

※類人猿分類の既刊『ゴリラの冷や汗』も好評発売中。

 

無料簡易診断サイト

http://yakan-hiko.com/gather/

 

 

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